トワイライト・ブレイク

ブラウン神父と星新一

ほんとに暑い日が続きますね。気温だけで言えばじゅうぶんクーラーをつけてもおかしくないんだけど、さすがにまだまだ気はひけます。窓やドアを開ければなかなかいい風が。自転車で街を走ると、汗ばんできますけどね。

そんなんで、今日は1983年のヒットナンバーが中心。


オープニングは、1983年5月アタマのヒット曲をお届け。
天国のキッス松田聖子」「君に胸キュン/YMO」「め組のひと/RATS & STAR」「ボディースペシャル2/サザンオールスターズあたりですね。


続いてピックアップアルバム。
やはり1983年にリリースされたARBの傑作アルバム「トラブル中毒」を特集。
今やすっかり‘やくざの親分’が似合う渋い俳優として認識されてる石橋凌ですが、実は元々ロックシンガーなのです。1979年にARBのボーカルとしてデビューし、The Modsルースターズロッカーズ陣内孝則)らとともに、80年代以降のロックシーンの土台を築き上げてきたんですぜ。
この頃のロックは、とにかく熱くトガっていて、客はほとんど男、男、男。とりわけARBは硬派で、そのメッセージは若者の叫びからワークソング、さらには体制や世の中の矛盾にまで切り込むほど。歌も詩、サウンドの完成度も、同期のバンドの中では飛び抜けて高く、コピーをするにはけっこうな演奏力が必要でした。いやあ、頑張ってコピーしましたよ。
メンバーチェンジの激しかった彼らの、初期の代表作で最高傑作の誉れも高いのが、今回紹介する「トラブル中毒」。
ハイスピードのビート系ロックンロールから、ファンキーな16ビート、スカ、黒っぽいロック、そしてドラマティックなバラードまで曲想の幅も広く、何より詩の完成度がすばらしい。「ボート・ピープル」や「War Is Over」など、今も色あせない気合いの入ったメッセージが胸に突き刺さります。

トラブル中毒
トラブル中毒



朗読コーナー「ことばの散歩道」。
今日は星新一「エヌ氏の遊園地」から「副作用」を朗読してみました。


エヌ氏の遊園地 (講談社文庫 ほ 1-1)
エヌ氏の遊園地 (講談社文庫 ほ 1-1)


4時15分頃からは、「ヒットtheビート」
ロック史に残る伝説の名盤を紹介します。今日紹介したのはThe Who「A Quick One」。詳しくは番組日記をどうぞ。
http://fmgig.exblog.jp/i30/


A Quick One
A Quick One


続いて「青春の1曲」
学生時代のエピソードとともに、思い出の一曲を紹介します。
高校に入学するとバンドを組む、ま、定番の青春の姿です。もちろん最初はコピーから。僕は甲斐バンドのコピーからスタートしましたが、高校に入ってからはすでにオリジナルに挑んでいました。しかし、やはりお手本は必要です。アレンジは特に。当時の僕らがもっとも参考にしたのがThe Modsです。最小編成で作り上げるビートサウンド、とにかく聞き込みました。高校2年の時に、そのバンドで全曲オリジナルのライブを実現しましたが、当時の音源を聞くと、もろにそのModsの影響が聞き取れます。
今週は、当時「こんな曲を作りたい」と思って毎日のように聞いていた、「Blue Resistance/The Modsをお送りしました。当時の僕がもっとも‘ロック’を感じたのが、こういう曲だったのです。


木曜だけのコーナー「ミステリ館へようこそ」
文学離れの進む中、ミステリーはしっかりと人気も根付いていますが、このコーナーではみなさんの敬遠しがちな、海外の古典ミステリを紹介していきます。
今日紹介したのは「ブラウン神父シリーズ/G.K.チェスタートン」
ホームズシリーズと並ぶ古典中の古典。ブラウン神父はそのユーモラスな風貌とともに世界中で愛され、三大探偵のひとりにも数えられるほど尊敬されています。が、意外に読んだことのある人は少ないのでは。なにせ、翻訳文が読みにくい。ぜひとも誰か新訳をすべきです。時間があれば僕がしたいくらい。
「見えない男」や「犬のお告げ」など、後の作家によって様々なヴァリエーションを生んだ独創的な(かつシンプルな)トリックは、今も普遍の輝きを放っています。回りくどい文章に比べて(原文は名文の誉れが高いですが)、話はシンプルなので、こども向けのリライトやマンガなどで読むのも手かも。


ブラウン神父の童心 (創元推理文庫)
ブラウン神父の童心 (創元推理文庫)


続いてもうひとつ、木曜だけのコーナー「Touch The English!!」
要するに英語講座。小説の原文に触れながら英語に親しもうというコーナー。
テキストは「The Illustrated Man(刺青の男)/Ray Bradbury(レイ・ブラッドベリ)」
名文の誉れ高いブラッドベリの作品の中でも、特に僕の好きな一冊です。
まずはこの中から、衝撃的な名短編「Kaleidscope/万華鏡」を読んでみましょう。
今日のポイントは
「A pause while they fell separate from one another.」
言いたいことはわかるけど訳しにくい文の典型ですね。もともとまるで詩のようで、文として成立していないので、思い切って構文にとらわれず訳しましょう。困ったときは前から訳す。小笠原豊樹さんの訳は
「沈黙。そのあいだにも、一同はお互いにどんどんはなれて行く」
お見事。名訳です。

The Illustrated Man (Grand Master Editions)
The Illustrated Man (Grand Master Editions)


今日はその他、チューリップ、原田真二甲斐バンドあたりをオンエアーしました。この頃の曲は、どれも春や初夏にぴったりですね。


ではまた来週もお楽しみに♪


冴沢鐘己

冴沢鐘己の日々~You are not alone~


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